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すてなはれ~

たまに実家に帰ると、掃除ばかりするので親にうっとうしがられる。
掃除洗濯、布団干し、トイレ掃除、風呂掃除・・・・何でもいい。
とにかく体を動かす作業がしたくてうずうずする。
これはもう押さえきれない衝動なのだ!
始めのうちは母も必死に抵抗していたが、今や半ば諦めて(呆れて)いる様子。
すなわち、私のやりたい放題である。
スバラシイ!次は何処じゃ~!ピッカピカにしたる~!燃える~! 

「・・・え?自宅でもそうかって?」

まさか。
実家が掃除しがいのある状況だからか?
・・・いや違う。自宅だってそうだ。
      
★自宅の休日:「私物や楽器に囲まれ、24時間....なんでもできてしまう環境」

★実家の休日:「ノンビリする以外にない環境」
       注)ワタシは何もしないのが苦手である

なるほどねえ・・・怒濤の実家掃除。



しかし踏み込み過ぎは禁物。自分の家じゃないんだからね。
「な~んでこんなもん取っとくの?」なんて絶対禁句である。
ゴミに見える物でも、親には取っておくだけのもっともな理由があるのだ。
私が集めてる羽根や使用済切手だって、人によってはゴミなんだし、この楽しい単純作業を満喫するためにも、その辺はサラリと迂回する。
そして「美しい成果」を見てニンマリする。

しかし、唯一感情が絡む場所がある。
それはかつての私の部屋。 
近頃父の部屋になったので、未だ置きっ放しになっている私物を処分しようと部屋に入る。

60...70本くらいはあろうか?古いカセットテープの山。
インデックスは変色し、埃っぽく黴臭い。
「え~い全部捨てちゃえ!」と、ゴミ袋にガラガラ~と入れた瞬間・・・
ふわ~んと甘い感情が絡んだ。

「これって、何が入ってるんかなあ?」
「一本だけ、かけてみよーかなあ?」

‥‥‥イカン!かけてはイケナイ!‥‥‥

「ガシャッ...キユルキュル...カラコロコロコロ、ガアアアアー」
一番古そうなボロいマクセルテープを巻き戻す。         
インデックスは小学校の頃の字だ。
「ガシャコン...キーコロ、キーコロ、キーコロ....」なんとか再生...。

「レーモンルフェーベル楽団」うぬ?ムード音楽が一曲目?!
「ツェッペリンライブ」すごいつながりだ!...FENかあ懐かしい!
「誰かのカンツォーネ」→うまい!だれ?...曲は、よく覚えてた。
「ぶりてぃっしゅろっく」→だれ~????(平仮名で書くなー)
「スティービー・ワンダー、回想、迷信」→メガヒットもきた。
「ドビュッシー(ギーゼキングの弾く)」めちゃめちゃなつながりだがなかなかよい!
「バンド名不明のロックが数曲」このバンド達、その後どうしただろうか...
「山下たつお」→こりゃ「達郎」の聞き間違いであろう...
「ホセ・リベルテーラ楽団」→このタンゴ楽団、ライヴまで行ったっけ。
「ホセ・フェリシアーノ」→小学生のときFMで聞いたこの曲でファンに。
「アタウアルパ・ユパンキ」→鳩の恋をギターで奏でてる曲。好きだった曲。
「ロバータ・フラック/やさしく歌って」母をムリムリ誘ってライヴ行ったっけ(小学生だし)
「ジャニス・イアン」→数曲入ってた....いい曲だな。
「みんなのうた/髭なしゴゲジャバル」あはははー。
「ジェームス・テイラー」ゴリラってアルバム、お小遣いためてレコード買いにいったっけ..
「映画パピオンのテーマ」.......洋画大好きの小学生だった。

はっ!!!?ところで.......

・・・な・・・・なななんやコレ???
・・・こ・・この脈絡のない選曲・・・・・

われながら、すばらしい!!!!

アカン・・・ハマってしまいよる・・・

そう言えば、小学校から高校にかけて私はエアチェックマニア だった。
どれもこれも当時の私が「厳選」した音楽。
「宝物」だったんだ。どれも「最高の一曲」だったはず。

ほほう...どれどれ.....ははは!!...笑える!
あ、この曲、懐かしい~!  



結局、自宅に全部持ち帰ってしまった。

とうとう持って帰りおった・・・

さて、自宅で数本聞いてまたびっくり。
イントロから曲の隅々まで覚えている。
次に何の曲が来るかも覚えていたりする。
子供の脳の新鮮さにひれ伏してしまいそうだった。

音を聞いて蘇る生々しい記憶。 
聞かなければ一生思い出さなかったであろう、あの「風景」あの「心境」あの「友人」「好きだった人」・・・
乗っていた自転車、部屋のレイアウト、窓から見えた風景、張ってあったポスター、剥がしたポスター、照明の色、机の上の小物、小事件、匂い、光、空気の感じ・・・

よみがえるのだった。 
ゲゲッ!と思うほど鮮明にね。

良くも悪くも、長年封印していたカプセルが開いてしまった・・・

【やっぱ捨ててしまえばよかった!!!】

さらにあるテープのB面終わりに、こんなものも入っていた。
中学生の私が奏でる

ギター(超ヘタクソなのにビヴラートに酔ってる。...なにこれ?)
ピアノ(オリジナル?...に一人酔いしれている。...なにこれ?)
ピアノ(思いつき音楽?...ボサなのに...リズムが「無い」ばかりか、無意味な早弾きまでしている!......な...なにコレ!?)
お歌(歌を始めた頃の「練習」が、突然上からREC!)

ななっ!? なにコレえええ~~~っ!!

【ぬえ~~い、全部捨ててしまえぇ~!! ! 】

・・・でも、何か、何というか、楽しそうに音楽やってるんだよね。
初心忘るべからずって言うしね。

ま・・・
【一応とっとくか・・・】

すてなはれ~~~~!!!!!







蜂谷真紀
はちやまき
MakiHachiya





by hachiyamaki_diary | 2011-04-10 20:57 | 福中文庫(作文)

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by 蜂谷真紀 / Maki Hachiya