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夏の音・町の音

猛暑の七月。その日はお休み。 
午後、自転車に乗ってフラフラした。

時代錯誤な水玉の紺のワンピースに、つばの広い麦わら帽といういでたち。 
もちろん、わざと。
ささやかな一人イベント。

その甲斐あってか、遠くから涼しげな音が・・・

...シャナシャナシャナ....「何だっけ?この音」

音の方へ 音の方へとペダルを踏む。

...シャナシャナシャナシャナ...「あ、これは...もしかして...」

...シャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナ......

「あ、やっぱり、うわ~珍しい!」

「風鈴売り」のお爺さんの屋台でした。 
商店街の、おもちゃ屋さんの脇にいました。
ピンク、青、銀色....色とりどりの短冊が風に揺れ、風鈴たちが、涼しげにおしゃべりしています。

...シャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナ...

ゆ~っくり屋台の脇を通りすぎようと、
立ちこぎしながら、自転車のスピードを限界まで落としてみた。
自転車のてっぺんから見下ろす夏の商店街。
時の流れも、ゆ~っくりになり、
歩いてる人達の表情もいつもと違ってみえた。
町が魔法にかかってしまったのだろうか?




そのとき

小さな姉妹がおずおずと現れた。
似た色目のフレアースカートに、ノースリーブのシャツ。
お姉ちゃんの手に、妹がギュっとしがみついている。

姉妹「風鈴一つくださいな...」

お爺さん「どれにするかな?ん?これがいい?......はあい。どうもありがとうねえ。ありがとう...。」

完璧すぎました。
映画のワンシーンみたいで少し照れました。
どこかでカメラ回してるのかな?と思った程です。
東京に江戸の風情が残っているんですね。
   
風に運ばれる生音っていいな

さて、そんな日はきれいな夕空、蝉時雨・・・
カラスはお気に入りの場所で、ぼんやり夕焼け観賞。
真似してベランダから見渡せば・・・

「おお~~~ きれいな空!」
「あの入道雲の下はどの辺だろう?海の上かな。船の上かな?お、あっちじゃ夕立だ」

こうなると、少しでも近づけて見たくなる。
愛用の双眼鏡を持ち出し、雲のむこうを見る。

夜。月が出た。
双眼鏡で見る。クレータまで良く見える。
ちょこっと....月に行ったような気分になれた。

ああ....どっか行きたい....

夜。東京には暗やみや静寂がありません。
自分も、こうして真夜中にカシャカシャとパソコン打ってる訳だし、誰かが「何かしたい」と思えば△△△...×××....と人工音がしています。
じゃ、寝れば静かなの....? .......いえいえ。
「涼しくしたい人」の室外機が一晩中 ブンブンブンブン・・・

「涼しくしたい人」の室外機がボロければ.....

・・・ンガゴンガゴガンガゴガガガガ~~

起きっ!!!!!!

普段は意識していないけど、飛行機、電車、車、警報器、携帯の呼び鈴、テレビ、モーター、拡声器、商店街の音楽、構内放送、プラスチック、金属、
日常聞こえる音って、自然界に無い音ばかり。
私たちの回りは人工物であふれている。
どれだけの物が本当に必要なのかなあ。

じゃ、音楽やってる自分は何者なのか? 
PA、マイク、エフェクター使えば、人工音?
ピアノはどうなるんかな?
でも生の声だけは、間違いなく天然100%の音だ。

デジタルとアナログが入り乱れるライヴ空間。
音は、会場という箱に閉じこめられる傾向にある。

だから.......外で生声で歌いますと、それはそれは.......................気持ちがいいものです。

シャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナ......

自分の音楽も、声も、あの風鈴の音みたいに

シャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナ......

たまには、風に流されたい

シャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナ...... 

シャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナ...... 

シャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナ......  
  
どっかいきたいな

シャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナ......シャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナ......シャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナ......シャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナ......シャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナシャナ......

by hachiyamaki_diary | 2001-10-08 00:00 | 福中文庫(作文)

ふくちう日誌


by 蜂谷真紀 / Maki Hachiya