生活にイモムシ
2002年 07月 04日
ホウレンソウの中に潜んでいました。
殺生はどうも好きでないのでね。
今も空き容器のなかで、
ボリボリとホウレンソウをかじってます。
どんどん大きくなって行きます。
数日前のこと、「おや?なんでここにいるかねえ。」と余裕の初対面。
「青虫君」って感じのヨチヨチとカワイイやつだった。
その後、食べること食べること!
一日に大きなホウレンソウの葉を丸々一枚、葉脈を残してペロリと食べ尽くし、お礼に、ウンチ山献上。(ありがと・・・)
わずか三日程で、倍ぐらいの大きさになってしまった。
ものすごい細胞分裂。
色も茶褐色に変わり、不気味な模様が浮き出て来た。
顔つきも、人間で言えば「攻撃的な無精ヒゲ面」って感じに変貌。
動きも活発だし、逃げ足も早い。
「おい!世話してる私をカジるな~!」
もう全然・・・・可愛くな~い!!!!!
★し....しかし、初心貫徹はわたくしの信条。
彼を立派な「蝶」に羽化させ、大空に羽ばたかせるのじゃ~!
「一体どんな美しい蝶になるのでしょう?」
そんな思いで毎日お世話をさせて頂いたある日、イモムシは逃走していた。
いない、いくら探してもいない!
オカメインコに「見なかったか?」と聞いても「うなもん知らん」と言う。困った。
とにかく、部屋のどこかにイモムシが潜んでるってのは、好い気持ちではない。
なんか落ち着かないのだ。
「どうしたらいいかなあ。 あ、そういえば、彼は昼間じっとして、夜食べていたっけ。夜行性かあ。」
そこで、彼の習性を利用しておびき寄せようと考えた。
まずは、彼が何者なのかネットで検索してみることにした。
おや?、農協や害虫駆除のHPばかりに突き当たるではないか。
彼を褒め称えているHPなど、見あたらない。
嫌な予感は的中・・・・
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『ヨトウムシ(夜盗虫)』
読んで字のごとく、成長した幼虫は日中は植物の根本の土に潜み、夜になると大変な食欲で作物をむさぼり食う。
農家の天敵。数あるヨトウガ類幼虫の総称。
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あ・・・蛾だったのね。
それもキミ、害虫らしいよ・・・知ってた?
★し、しかし・・・初心貫徹はわたくしの信条。
彼を立派な「蛾」に羽化させ、大空を羽ばたかせるのじゃ~!
寝る前、部屋の片隅に好物のホウレンソウをセットして、明るくなる前に目覚ましをセット。これでよし!
さて、夜明け前にショボショボと見に行くと、いた!いたいた。
まんまと戻ってきたわい!
「おまえ本能丸出しだねえ。可愛いとこあるじゃん。」
彼は再び御用となり、少し大きい容器に引っ越した。
彼の習性が解ったので少し住環境をかえてやった。
「ヨトウムシ」について更に調べると・・・
温暖化に伴い、実に適応力抜群らしく、今まで食べなかった作物を、どんどん新たに食害しているらしい。
良く言えば「開拓イモムシ軍団」悪く言えば「ブルドーザー軍団」って印象だ。
例えばレンコン畑の蓮の葉も、彼らの新たな食堂らしい。
しかし蓮畑と言えば、泥の沼。
移動するときどうするの?・・・答えは簡単。
蓮畑の水面を、泳いで移動するのが目撃されている。
(バサロ泳法ばりだそうな・・・)
農家のおじさん曰く、「ヨトウが泳ぐのは今まで見たことも無い。」
へえ~、イモムシが泳ぐかねえ~~~、興味深い。
とにかく、我々より長く地球上に残りそうな生物なんである。
今度は、ヨトウムシの「成虫」を見たくなって、更に調べた。
あったあった.....。
いかにも「蛾」らしい「蛾」であった。
茶色っぽくて、イカツイ。
害虫の親たる風格。
お・・・おまえ(害虫の蛾)を大空に放つのか~?
いやまてよ....彼らだって少しは役立つ事もしてるんじゃ無い?
藁をもすがる思いで、しつこく検索。
おお!有った。
★虫の内分泌研究に「ヨトウムシ」が多く使われるらしい。
★ある少年?が「ヨトちゃん」を愛情一杯に飼育したページ発見。ヨトちゃんの一生を丁寧につづっている。
そうであった!彼は「害虫」や「蛾」である前に「虫」であった。
私としたことが、人間が勝手に付けた肩書きに左右されかかっていたのだ。
よし。心は決まった。
★・・・初心貫徹はわたくしの信条。
彼を立派な「蛾」に羽化させて大空を羽ばたかせるのじゃ~!
しばらくは忍耐
追伸: その後ヨトウムシ君はサナギとなり、 無事に羽化しました。ただ、蛾の性格上、大空に飛び立ちたくないみたい...でした。低い植え込みに向かって50センチ程の飛翔、そして、すぐコソコソと隠れました。


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